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【小論文解答】:2017年/広島大学/歯学部/後期試験【2】

 人工知能が歯科医療にもたらす変革として私は2つのことを予想する。1つ目は「画像診断技術の向上」である。これまではレントゲン写真を歯科医師が目視で確認するという方法が画像分析の主流であった。しかしこれからはレントゲン写真やCT画像を人工知能が分析し、それに基づいて医師が再度確認し診断を下すようになるだろう。歯科医師は人工知能の分析と自己の分析が一致することでより確信をもって治療ができるし、場合によってはAIによって自分の見落としや考え落としをサポートしてもらうこともできる。結果として治療を受ける患者の歯の健康をより的確に維持できる、というメリットが生じる。
2つ目は歯科の治療記録を「電子カルテ化し、歯科医師同士で共有できるシステム」を構築することである。これまでは新しく患者がやって来ると患者の状態を一から確認することを繰り返してきたが、人工知能によって全患者の厖大なデータを処理できるようになると、はじめて来た患者でもそれまでどこでどのような治療を受けてきたのかをすぐに確認でき、迅速に治療を行なったり続けたりできるようになる、というメリットが生じる。
これらは歯科医師と患者双方にメリットをもたらすが、歯科医師にとって大事なのはこうした作業の手間を人工知能に補完してもらうことで患者そのものに向き合う時間が増えることである。あくまでそのための人工知能の活用だ、という認識が重要であると思う。(597字)

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プロフィール

玄武庵

Author:玄武庵
日本の片隅で予備校講師をしながら旺文社(入試問題正解)・教学社(赤本)等で作問・解答・解説等の仕事をしています。小論文は自分の頭で考えて書くことが一番大事ですが、その際の参考にしてもらえるとうれしいです。頑張ってください。(※コンテンツはすべて無料です)

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