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【小論文解答】:2018年/広島大学/歯学部/後期試験【2】

 「うまく人々の意思を汲み取る」とは相手に積極的に働きかけ、相手が自分の立場や意見を表明しやすい状況を作った上で相手の話を聞き、問題に対しての最適解を一緒に作っていくことであると私は考える。文章では「多数決の正しい使い方」をテーマとして「多数決ではうまく人々の意見を汲み取れていないのではないか」という疑念が提示されている。一般的な多数決は「賛成者の多い意見を正しい意見として採択する」という形になっているが、確かにこうした方式では少数者の意見は「なかったこと」にされてしまうので「意見を汲み取る」という行為はできないだろう。しかし本来の多数決のあり方を「1人でも多くの人が賛成できるような意見を形成しそれをみんなで支持する」ためのシステムだと捉えれば、その過程で「うまく人々の意思を汲み取る」ことは必須の要件となる。
その際に「汲み取る側」に求められるのは「相手の意見を尊重する態度を示すこと」と「自分の立場を変化させる覚悟を持つこと」の2つだと私は考える。相手が少数派の場合、こちらがいくら相手の話を聞くといっても、自分の立場を変える気がないことがはっきりしている場合には本音を話すことは難しい。自分と相手のどちらもが正しいという前提に立って相手の意見を求め、その上で両者が納得する解決策を得るためにコミュニケーションを重ねていくことこそが、「うまく人々の意思を汲み取る」ことなのだと私は考える。(596字)

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玄武庵

Author:玄武庵
日本の片隅で予備校講師をしながら旺文社(入試問題正解)・教学社(赤本)等で作問・解答・解説等の仕事をしています。小論文は自分の頭で考えて書くことが一番大事ですが、その際の参考にしてもらえるとうれしいです。頑張ってください。(※コンテンツはすべて無料です)

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