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【小論文解答】:2019年/広島大学/歯学部/後期試験【2】

 私は言葉のパワーを、人が自分の希望を掘り起こせるような「きっかけ」として使いたい。私は歯科医師として生きていきたいと思っている。私のところにやって来る患者はみんな歯に悩みを抱えている。歯の悩みは単に身体的な苦痛だけでなく精神にも大きな影響を及ぼし、その人の生活や人生を苦しめる。そうした悩みや苦しみを治療技術とともに和らげるのが「言葉のパワー」である。「どうされました」「大丈夫ですよ」「歯を大切にして、元気でいて下さいね」と明るく元気に声をかけること。「それは大変ですね」「確かにそうですね」と相手の言葉に耳を傾けきちんと相槌を打つこと。何気ない言葉かもしれないが、患者がその言葉で少しでもほっとしてくれるなら、それは十分にパワーをもった言葉だ。
 また治療方針について自分と患者とで意見が異なる場合もあるだろう。その時に単に科学的見地や一般的な見地、あるいは歯科医師としての経験から自分の意見を一方的に伝えると、患者は自分の歯のことなのに自分の思い通りにならないと考え、希望を失うかもしれない。歯は患者のものであり、患者の人生の一部、患者そのものである。歯科医師はそれを弁えて相手の意向を十分に聞き、自分と患者の両方が納得できるより良い提案を常に心掛けなければならない。「では、こうしてみてはどうでしょう」という前向きな提案の言葉はきっと患者の希望を掘り起こす。それが私の言葉のパワーの使い道だと考え(594字)

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プロフィール

玄武庵

Author:玄武庵
日本の片隅で予備校講師をしながら旺文社(入試問題正解)・教学社(赤本)等で作問・解答・解説等の仕事をしています。小論文は自分の頭で考えて書くことが一番大事ですが、その際の参考にしてもらえるとうれしいです。頑張ってください。(※コンテンツはすべて無料です)

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