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 【小論文解答】:2020年/杏林大学/医学部/センター利用後期

 「弱肉強食」とは弱者の犠牲の上に強者が栄えることで、動物社会の基本原理であるとともに、人間社会の基本原理でもある。動物であれ人間であれ、個体が個体として存続するためには、他者と競争し、勝利し、自己の生存や地位の維持に必要なものを手に入れなければならない。現に今自分が行っている受験勉強も、他者との競争に勝利し、医師としての自己の生存と地位、繁栄を手に入れるための「弱肉強食」的な行為であることは間違いない。個人の幸福は基本的に「弱肉強食」的競争を通して追求されるものである。
 一方、動物が集団や群れを維持するために同種他個体との協力関係を必要なように、人間が社会の中で自己を実現するためにも、自分一人の力だけではなく、他者からの支援や協力が絶対に必要である。加えて人間は社会の中で他者のために貢献するような活動を行うことによって、はじめて他者から認められるし、社会の中で生きていける。社会生活の基本は「弱肉強食」よりも「共存共栄・自己献身」的な発想や振る舞いによって成り立っている。だが「共存共栄・自己献身」的な生き方を社会の中で実現するためには、「弱肉強食」的な競争を勝ち抜いて、貢献できるに値するスキルを身につける必要がある。よってこの相反する考え方や行動指針はどちらも正しくどちらも必要なのだ、と私は考える。
 医師という仕事は、身体的・精神的な弱者を医療の力で治療・回復させ、社会の中に復帰させるという意味で「弱者を肉にしない」ための職業であると言える。その根底には、個人はみなかけがえのない存在であり人間の価値はみな平等であるという価値観がある。そして医療は医師一人の力で実現できるものではなく、他の医療従事者やコ・メディカルの方々との協力・連携によって成り立っている。医療を通して他者の役に立てるためのスキルは「弱肉強食」によって得られるが、その目的は「共存共栄」でなければならない。このことを肝に銘じて生きていこうと思う。(814字)
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プロフィール

玄武庵

Author:玄武庵
予備校講師をしながら旺文社(入試問題正解)・教学社(赤本)・Z会(実戦模試)等で作問・解答・解説等の仕事をしています。小論文は自分の頭で考えて書くことが一番大事ですが、その際の参考にしてもらえるとうれしいです。頑張ってください。(※コンテンツはすべて無料です)

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