〔問1〕
生まれつき遺伝子や染色体の異常によって目の見えない人がいるとする。こうした「損傷」を持っていても、点字ブロックによって円滑な移動を可能にし、公共施設の壁に点字での表記を添えることで円滑な施設利用を可能にし、横断歩道の信号機に音声装置を取り付けることで通行上の危険回避を可能にする、といった社会の側の工夫によって、目の見えない人は社会の中で目の見える他者と対等な関係での共存を実現できる、ということ。(199字)
〔問2〕(※解答例)
障害を所有しながら生きているひとりの人間(20字)
〔問3〕
医師及び医学が「損傷」「能力不全」「不利」の3つの「障がい」に対応していくには大きく3つのやり方があると私は考える。1つは「障がい」治療対象と捉え、医療技術を駆使して生理学的生物学的「異常」に直接介入して「障がい」を軽減するやり方である。筆者は「障がい」を物や労働と重ね合わせ、所有者と切離可能なものと捉えている。ならば「障がい」による個人の負担を軽減し健常者との共生を目指すことは、障がいを持つ個人のQOLや尊厳の向上という観点からも重要となる。医師や医学の目的は「病気や怪我を治療し、患者の幸福に寄与する」ことにある。その基本的な姿勢を障がいに対しても適用し、彼らが社会の中でより生きやすい状況を作ることが最も重要なことだと私は考える。
2つ目は医療以外の分野と連携して「障がい」を外的にサポートすることで健常者との共生を目指すというやり方である。例えば四肢の欠損に対して四肢の代替物となる高度な義手や義足を作り出したり、筋肉の弛緩によって身体を動かせない人がものを書いたりネットを見たりできるような、視線や微量な電流の変化に反応するパソコンの開発などがこれにあたる。これらを実現するには、医学と他の学問分野が緊密に連携して、それぞれの知識と経験の蓄積を重ね合わせていく必要がある。そのために、これからの医師や医療は他の分野についての深い興味と関心を持ち、交流を深めていく必要があると私は考える。
3つ目は「障がい」に対する健常者の認識を「共生」へと向かわせるための情報発信や啓発活動である。筆者の言う「障がいをもつ限りは必要になるケアや教育」を健常者が正しく理解するためには、障がい者がどのような存在であり、何を望んでいるかについての正しい知識が必要である。正しい知識による深い理解は積極的な協力を生み出す。その役割を専門家である医師が提供・啓発することは非常に大きな意味があると私は考える。(794字)
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