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【小論文解答】:2020年/日本大学/医学部/本試験

 筆者が考える「感情の敏捷性」とは、事柄や状況に対する自己の感情や価値観を自己から切り離して相対化し、その原因を冷静に観察・分析した上で、目的に応じて最適化していく「感情調整能力」のことを指す、と私は考える。本文において、ジーンはプラスチックの細い管に穴をあけるという単純な仕事が自分に与える「退屈」な感情を、くり抜いた断片を入れた瓶を見ることで「人の命を救う」という「前向き」な使命感へと変換した。そして筆者はそうした能力が本当の意味で生きるために必要なことだと主張している。
 私はこうした「感情の敏捷性」が、医師にとって大変重要な資質であると考える。なぜなら医師という仕事もある意味で単調になりやすい傾向があると思われるからである。医師は患者の命や健康を守るという意味では非常に崇高で重要な職業であるが、その内実は毎日毎日同じような症状の患者と向き合い同じような処方を繰り返すことにある。このルーティンが医師の心に「退屈さ」をもたらし、医師としてのやりがいを見失わせる要因となると同時に、患者の病気に対する見落としや勘違いを引き起こす要因ともなるのだ。
 そうした自己の感情を相対化し、医師という仕事の意義や使命を常に意識し続けるために「感情の敏捷性」は必要である。またそうした敏捷性を常に呼びおこすための「ジーンの瓶」も医師には必要だろう。私の父は内科医をしているが、診察室の机の横には自分に課した教訓と、患者からもらった最初の感謝の手紙が額に入れて飾ってある。仕事に疲れた時、初心を忘れかけた時、父はしばらくこれらの額を眺め、自己を奮い立たせるそうである。こうやって自己の感情を一旦切り離し、調整しながら前向きさを取り戻していくことで、父は自分の仕事のやりがいを再確認し、本当の意味で生きているのだと思う。私も将来医師として、こうした「感情の敏捷性」を大切にしていきたい、と考えた。(790字)
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プロフィール

玄武庵

Author:玄武庵
予備校講師をしながら旺文社(入試問題正解)・教学社(赤本)・Z会(実戦模試)等で作問・解答・解説等の仕事をしています。小論文は自分の頭で考えて書くことが一番大事ですが、その際の参考にしてもらえるとうれしいです。頑張ってください。(※コンテンツはすべて無料です)

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