高齢者が運転する理由として大きいのは「生活の移動手段」である。公共交通機関の発達した都市部とは異なり、地方では軒並み公共交通機関が乏しいか存在せず、買い物や病院の行き来に車を利用しなければならない、という現状がある。また農業や漁業といった職業では、仕事場である畑や港、集荷場や市場などへの移動も自分で行わなければならない。加えて趣味や生き甲斐としてドライブを楽しむことも、運転する正当な理由となる。
よって高齢者には、自己の生活を維持するため、自分の人生の質を維持するために自動車の運転を行う権利がある。充実した人生を送る権利は誰にでもあり、その条件として自動車の運転が必要なら、特別な理由なしにその権利を奪うことは出来ない。しかし課題文にもあるように、近年認知機能の低下や身体機能の低下により高齢者の運転による交通死亡事故の比率は高くなっており、権利についても一定の制限が必要な状況となっている。
事故を起こさないための対策は三方向から考えられる。一つは認知機能や身体機能に関する現行の基準を上げ法的規制を強化することである。しかしこれでは高齢者の生活の質を維持できないという問題がある。よって二つ目に身体の衰弱を防ぎ運転能力を維持するための適正な運動・体操の推奨を挙げる。フレイル等を防止し運転に必要な筋肉や身体機能を維持することが主に医療側のサポートとして求められる。三つ目は自動車の事故防止システムの向上や代替交通機関の充実といった外部からのサポートである。これらの併用によって事故は減少すると私は考える。(653字)
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