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【小論文解答】:2019年/日本大学/医学部/本試験【解説付き】

 生命は外部から食物として身体の構成要素を取り入れ、それを既存の身体の構成要素を絶えず入れ替えながら持続的な変化を通して「身体」としての一定の状態を保つ、という形でサスティナブルなシステムを維持していると筆者は考えている。その上で生命現象とはこのシステムのもたらす「効果」であり、分解と再生による絶え間ない自己改変が環境への適応を可能にするし、その軌跡と運動を「進化」と呼ぶ、と筆者は主張している。
 筆者の意見は、医師として人間の身体をどう考えるかについて私に大きな示唆を与えてくれた。人間の身体は外部から構成要素を取り込んで成立しているという点で「環境の一部」である。ならば私たちが外部からどのような構成要素を取り込むかということと、私たちの身体状況とには、強い相関性があるはずである。昨今問題となっている種々の生活習慣病は、私たちが取り入れている外部の要素の影響が大きい。「健康」も「病気」もシステムの「効果」であるが、それを理解して意識的に外部環境から取り入れる要素の内容や量を変更することで、私たちはこの「効果」をコントロールすることができる。それが「生活習慣の改善」であり、それをサポートするのが「予防医学」だ、ということになる。
 この「予防医学」的なアプローチは、現在、そしてこれからの医療の中で大変重要になってくる。高齢化の進む現在の日本では、健康寿命と平均寿命の差を縮める方法として「予防医学」の試みは必須である。それは高齢者ばかりが対象ではなく、中年層や若年層についても長期的な観点から必要である。禁煙を促進する。節酒を奨励する。カロリーの調整をする。こうした地道な努力が「健康」という「平衡状態」の維持には最も効果的であるし、それを支えることも立派な「医療」である。将来医師となる私は、そうした点を自覚しながら「治療」だけでなく「予防」のためのサポートを行っていきたい、と思った。(794字)

【解説(解答のポイント)】

1:本文第1段落から「食物の摂取=身体構成」という図式を読み取り、これを「食べ物によって身体の良し悪しに影響が出る」と読み換える。「医系小論文」なので、一見抽象的な話をしているように見えても、その本質はやはり「医療人の資質」「昨今の医療の現状」「医師と患者のあり方」とに関連している、という前提をしっかり持っていれば、こうした読み換えは可能である。冒頭でこうした読み換えができると、以後の文章の読解が格段に楽になる。

:「食物と健康=生活習慣病=予防医学」という図式を読み取り、「この文章を予防医学の観点から理解し直す過程を書くのが今回の設問の要求なのだ」ということを理解する。文章の中で重要視されている「キーワード」を、「生活習慣病/予防医学」という話の中に織り込みながら、予防医学の重要性を強調するような論文を書こう、というめどを立てる。

3:これに「あなた自身=将来の医師」という視点を取り入れ、医療の「当事者」としてこの「予防医学」的な観点から患者をどのようにサポートしていきたいかを述べる。
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プロフィール

玄武庵

Author:玄武庵
予備校講師をしながら旺文社(入試問題正解)・教学社(赤本)・Z会(実戦模試)等で作問・解答・解説等の仕事をしています。小論文は自分の頭で考えて書くことが一番大事ですが、その際の参考にしてもらえるとうれしいです。頑張ってください。(※コンテンツはすべて無料です)

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