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【小論文解答】:2019年/金沢医科大学/医学部/2月6日・2月7日分

【2月6日分】
脳内の情報処理の多くは意識下で行われており、そのための神経回路の作成には最適期がある。その時期に意識主体の学習ばかり行うと、脳が意識下の機能を自然に学習する時間がなくなり、後で認識活動に問題が生じる。神経の接続は環境からの刺激が決め手になるので、幼年期にはできるだけたくさんの自然環境の中でたくさんの情報をもらって育つのが望ましい。幼児は実体験を通して過去の人間が遭遇してきた種々の問題に出会い、それらを通して「原風景」を作成し、神経回路の土台ができる。そこが大きく欠損すると、思いやりの心が持てなくなったりする。(297字)

【2月7日分】
どのような生き物であっても発生の際にはわずかな割合で通常の形態とは異なる個体が発生する。変異の幅が小さければその影響を感じることはないが、変異の幅が大きければ個体維持や子孫作成が困難となり「淘汰」される。それが野生の「自然」なあり方であるが、人間は前例のない発達度の脳を持ち、ほかの個体を思いやる能力を獲得した。しかし弱い個体を世話するという認識は未だに不十分であり、経済合理性や存続可能性の観点か彼らを「変異者」と捉える見方もあるが、対等な「ヒト同士」による思いやりの実践こそがヒトを豊かにし安定させるのである。(296字)
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玄武庵

Author:玄武庵
日本の片隅で予備校講師をしながら旺文社(入試問題正解)・教学社(赤本)等で作問・解答・解説等の仕事をしています。小論文は自分の頭で考えて書くことが一番大事ですが、その際の参考にしてもらえるとうれしいです。頑張ってください。(※コンテンツはすべて無料です)

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