医師の仕事は、まず何よりも社会の最小単位である「個人」に対して、診察・治療活動を行うことで成り立っている。病気や怪我による肉体的・精神的苦痛を知識と技術・経験によって治癒・回復していく。そうした活動を通して個人の人生を支える。医師の社会貢献とは、このように目の前の一人一人の患者に対して医療行為を通して全力で向き合うことだと私は思う。そのためにはとにかく日々医師としての技量を磨くことが大切である。
また、より大きな社会単位としての「地域社会」に対しても、医師はさまざまな活動を通して貢献が可能である。その基本はもちろん地域社会の人々が患者として来た時に適切に治療を行う、ということであるが、患者としてではなく、患者にならないための啓発・予防活動が重要となる。例えば予防医学の実践としての健康診断や健康セミナーの定期的な開催、他の医療・介護・自治体関係者との連携で行う地域住民の健康管理や在宅医療等を通して、地域住民の健康の拠り所として、医師は積極的に貢献していく必要がある。
最後に、最も大きな社会単位としての「日本」に対しても、医師は貢献を行っている。目の前の患者の診察・治療活動あるいは地域で行う予防医学的活動の集積は、結果として日本人の平均寿命・健康寿命の伸長、幸福度の増大につながっている。電子カルテによる情報の共有は薬の重複を防ぎ、日本の医療費の削減にもつながる。また臨床医であれ研究医であれ、日々の地道な研究活動を通して医学・診療活動上の新たな発見を通して、日本人のみならずより大きな「人類」という単位においても、医師は貢献することができる。
私は将来医師としてこうした自分の存在意義を自覚しながら、目の前にいる一人一人の患者「個人」の健康のために全力で取り組むとともに、常に「地域社会」や「日本」を意識し、自分が貢献できるための努力を続けていくことが求められているのだ、と考える。(792字)
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