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【小論文解答】:2019年/愛知医科大学/医学部/1月31日分

 私はこの短歌を読んで、人間は規則以上に自己自身の良心によって自分を厳しく律していくことが必要だ、というメッセージを受け取った。この短歌の意味は「私は昨夜猫を轢き殺したが、人は猫を殺しても罰せられない、という人間世界の規則によって猫を殺した罪を許され、こうして今日も働いている」ということである。焦点は「猫の命」で、人の規則では許されているが、自分がそれを許していいわけではない、という自責の念を間接的に表明することで、筆者と共にあなたもそうではないか、と呼び掛けられた気がする。
 医師と患者の関係においても、同じことが言える。医師は患者を診断し、処方箋を書き、手術を行う。その大半は患者の病気や怪我の回復をもたらすが、全力を尽くしてもうまく行かないことがある。それは医療ミスや不注意といった軽率な原因ではなく、やるべきことをきちんとやってもそうなるのである。これらの「うまく行かなかったこと」はもちろん「人の規則」としては許され、医師は仕事を続けることができる。しかし医師個人の良心として、そうした事態を深刻に受け止め、患者の命や尊厳、健康の重さを噛み締めながら、自分の知識や技術を磨くことで少しでも問題点を減らしていく努力が大事である。
 私はまだ医学部にも入っていないただの学生であるが、だからこそこうした心構えがなおさら必要なのだと思う。高い良心によって自分を律する心を養っていきたい。(591字)
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玄武庵

Author:玄武庵
日本の片隅で予備校講師をしながら旺文社(入試問題正解)・教学社(赤本)等で作問・解答・解説等の仕事をしています。小論文は自分の頭で考えて書くことが一番大事ですが、その際の参考にしてもらえるとうれしいです。頑張ってください。(※コンテンツはすべて無料です)

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