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【小論文解答】:2011年/日本医科大学/医学部/本試験

 ヒトは動物として生きるための勘や精度を失っており、動物的な面に関する生物学的な背景の解明に努めるべきではあるものの、解明されていない動物的な面については謙虚さを失ってはならない、という筆者の主張に私は大いに同意する。またそうした謙虚さは、特に将来医師を目指す自分にとって最も求められる資質の一つである、と私は考える。
 人間は科学技術を発達させることで、自己の身体的側面だけでなく、精神的側面についても「科学的」に説明できるようになったが、そこで得られたのはあくまでも人間に関する一般的な傾向についての知識であって、個別的な人間の状況、人生のあり方も含めたナラティブな側面まで理解できているわけではない。しかし例えば医療において「患者を診る」という行為は、科学的に解明された動物的側面に対する知識に従って客観的な視点から患者を捉えつつ、患者の人生や価値観に対して謙虚に耳を傾けながら、客観的には捉え切れない患者の兆候に目を向け、トータルな存在としての患者と向き合う、ということに他ならない。科学的に解明された事柄に対する知識を患者の全てだと考えて患者と向き合えば、症状の奥にある隠れた原因を見落とすことにもなるし、良好な人間関係が築けず、結果として患者を治すという本来の目的を果たせないこともある。そうならないための勘や精度は医師に必要であるし、それは謙虚さによって磨かれるものだ、と私は考えた。(596字)
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玄武庵

Author:玄武庵
2014年6月から医系小論文専門の個人ブログとして年間50記事~60記事を掲載。年間ページビュー数約21万、表示回数約90万、主要検索エンジン検索10年連続1位(医学部/小論文/解答)。小論文は自分の頭で考えて書くことが一番大事ですが、その際の参考にしてもらえるとうれしいです。頑張ってください。(※コンテンツは基本的に無料です。また解答の著作権はすべて「医学部小論文過去問自作解答集」に帰属します。)

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