これからの時代は現在進行中の高齢化や都市と地方の医療格差がさらに増大・拡大することが予想される。高齢化により生活習慣病を主とした長期的・不可逆的な疾患を持つ患者が増加し、さらに医療の進歩や彼らの人生の選択の多様化により、治癒・回復・維持・終末医療の各場面での医療の果たす役割も多岐にわたるようになる。また地方では医師のみならず、介護士をはじめとした高齢者を支える医療・福祉関係者の絶対数の不足が現在以上に深刻化する。また高齢者だけでなく、地方の人々全体の健康を保障するために必要な医療インフラが維持できず、地方の存続そのものが脅かされる状況も起こりうる。
こうした問題の山積する未来を前に、困難に立ち向かいつつ、人々の生命と健康を守る者として高齢者や地方の人々に寄り添い、思いやりと誠実さを持って「顔の見える医療」を実践していくような医師のあり方が私には理想の医師像に思われる。こうした医師となるために最も重視すべきは、高齢者や地方の人々にとっての医師の役割に対する自覚と覚悟、責任感といった、いわゆる「職業意識」である。一人一人の人生を共感を持って思いやり、医療を通して彼らの幸福を実現することを念頭に置いて、知識と医療技術、高いコミュニケーション能力を培いながら、役に立つ人材として自分を磨くことが重要である。
また、高齢者や地方の人々の多様なニーズに対応できるよう、他業種やサイバニクスとの連携、協力を図ることも重要である。高齢者の在宅医療という例一つをとっても、そこには医師や他の医療関係者、介護士や福祉関係者、行政、家族や地域住民といった多様な人々が「チーム」となって取り組む必要があるし、それぞれの負担を軽減するためのサイバニクスの活用も重要となる。もちろん医師も一人の人間であり、出来ることには限界もある。その中でより良い医療の在り方を少しでも模索できる医師に私もなりたいと思う。(795字)
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