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【小論文解答】:2018年/金沢医科大学/医学部/本試験

■1月29日分
人間には「まだわからないはずのことが先駆的にわかる」能力が備わっており、それは人間の知性の発動の本質的様態である。自然科学は自然現象の背後に数理的な法則性を直感した科学者たちによって切り拓かれてきたが、そのプロトタイプは子どものうちにも見出せる。そうした科学的知性の起動には「対象へののめり込み」が必要であるが、それは知的渇望とは異なり「時間の経過」が関わっている。自分が見ている者の背後に美しい秩序や単純な法則性がある、という直感は、もっと大きな時間の流れの中で、その全貌を明らかにする未来の協働研究者たちとの連帯を感じる際の「ふるえ」のような感動をもたらすのであり、それが自然科学なのである。(298字)

■1月30日分
時間経過の感覚は分子の代謝回転と関係を持つ。人間は自分の年齢を分母にして1年を考えると歳をとるにつれて1年の重みが相対的に小さくなるが、そうした内発的な時間感覚はあいまいで、ひとえに「体内時計」に依存している。実時間を確認できる要素を排除すると、人間は歳をとるほど時間感覚が長くなるが、それはタンパク質の新陳代謝速度が加齢とともに遅くなり、それが「体内時計」に反映しているのである。その結果、1年の感じ方は徐々に長くなっているにもかかわらず、実際の物理的な時間は同じ速度で過ぎていくので、実際の時間の経過に自分の生命の回転速度がついていけなくなる。その結果人は実時間の流れを早く感じてしまうのである。(300字)

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プロフィール

玄武庵

Author:玄武庵
日本の片隅で予備校講師をしながら旺文社(入試問題正解)・教学社(赤本)等で作問・解答・解説等の仕事をしています。小論文は自分の頭で考えて書くことが一番大事ですが、その際の参考にしてもらえるとうれしいです。頑張ってください。(※コンテンツはすべて無料です)

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