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【小論文解答】:2018年/東海大学/医学部/2月11日分

 私がこの詩を読んで感じたことは、作者である八木重吉が「端整な心」「きれいな心」に強い憧れを抱いている、ということである。白鳥の白い色は「清廉潔白」を想像させるし、おおぞらは「汚れた俗世から離れたきれいな場所」を想像させる。日常生活では妥協もしなければならないし、自分の身をまもるために人の苦しみを見て見ぬふりをすることも多い。作者はそうした日々と自分のあり方をある意味恥じていて、もっときれいな場所に「行きたい」、つまり精神的にきれいな存在として「生きたい」という願いを込めて、そしてその思いを一羽の「白鳥」に託してこの詩を書いたのではないかと私には思われるのである。
 そしてこの詩の最後が「ながれよう」になっていることにも私は心ひかれる。空に浮かぶ白鳥といえば「白鳥座」であり、「白鳥座」は「天の川」の中にある。自分は空へ翔け上がり、一羽の清らかな白鳥となって、また空の上から地上へと流れていく。そうして再び人の世で清らかな心で人のために生きていきたい。そうした願いを私はこの詩から感じる。
 この願いは、また私の生きる指針となるのではないか、と私は思う。医師を目指す人間はそうあるべきだと思うからである。(494字)
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玄武庵

Author:玄武庵
日本の片隅で予備校講師をしながら旺文社(入試問題正解)・教学社(赤本)等で作問・解答・解説等の仕事をしています。小論文は自分の頭で考えて書くことが一番大事ですが、その際の参考にしてもらえるとうれしいです。頑張ってください。(※コンテンツはすべて無料です)

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