私の医師としての夢は、地元に帰って父の跡を継ぎ、内科医・総合医として可能な限り地域の健康に貢献することである。私の父は鹿児島の小さな田舎町で内科医をしている。町の人口は6000人ほどで、半数近くが65歳以上の高齢者である。町には病院が少なく、父の病院には毎日多くの患者が訪れる。その大半が高齢者であるが、父はそれらの患者ともう何十年にもわたって関係を続けており、患者も「医者をやっている友達」に会いに来るような感覚で病院に来ている。父も友達を気遣うかのように患者に接している。私はそうした父の医師としてのあり方に憧れを抱き、自分も医師を目指そうと考えたのである。
私自身がもともと田舎ののんびりした雰囲気が好きで、不便であることをあまり問題だとは考えない。人と関わることも好きである。そうした意味で私は地方で医師をするのに向いていると思う。ただ田舎だからと言って、人がどんどん減って活気がなくなっていくのは寂しい。父の病院に来る患者からも「父がいなくなったら近くに行ける病院がないから引っ越しするしかない」という言葉を度々聞いた。高齢者をはじめ、町の人々にとって病院が近くにあるか無いかは死活問題なのである。彼らが自分の住んでいる所で元気に働き、暮らせるために、早く医師になって自分のできることを一生懸命やっていきたい。
そのためにはまず医学部に入り、きちんと勉強し、医師となった後も色々な場所で経験を積んでいく必要がある。地域医療のあり方も日々進歩しており、チーム医療や他業種との連携、AIの活用など、患者のQOLを上げるための様々な方法が開発・発展してきている。もちろんそれも大事だが、はやり医療の基本である「人と人との関わり」を大事にしながら、地域の人に頼りにされる医師を目指していきたい。地元に戻って、「お前がいるからこの町で暮らせる」と患者から言われることが、私の医師としての夢である。(791字)
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