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【小論文解答】:2017年/日本医科大学/医学部/本試験/2月2日分】

 この資料を分析すると、今後少なくとも約50年にわたって、年少人口の急激な減少に伴う生産年齢人口の減少は避けられないことがわかる。一方で老年人口の増加は2040年頃にピークを迎え、以後はゆっくりと減少に向かうことが予想される。ここから予想されることは、病気を抱えた高齢層がしばらく減少しないことによる医療費の増大、そしてそれを支える側の減少に伴う現行の医療保険制度や介護制度崩壊の危機である。そして生産年齢人口層に現行以上の医療費負担を求めることは、最終的に日本の国力の衰頽を招くことにもなる。こうした問題を解決する鍵は、高齢者の健康維持と社会参加にあると私は思う。
 まず「健康維持」のために必要なことは、中年期からの「予防医学」である。食生活の改善や禁煙・節酒、運動の推進や生活リズムの改善により、年を取っても病気になりにくい状態を実現することが重要である。こうした動きを支えるための医療の役割は極めて重大である。積極的な啓発活動や健康診断による継続的な体調管理は「元気なお年寄り」を増やしていくのに欠かせない。次にこうした高齢者を積極的に「社会参加」させることで、第二の「生産年齢人口」と位置づけることが重要である。彼らが「支えられる側」ではなく「支える側」に回ることで、既存の生産年齢人口層の負担は健康な高齢者の増加と相俟って大きく減少する。こうした対処がこれからの時代には必要である、と私は考える。(595字)
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玄武庵

Author:玄武庵
日本の片隅で予備校講師をしながら旺文社(入試問題正解)・教学社(赤本)等で作問・解答・解説等の仕事をしています。小論文は自分の頭で考えて書くことが一番大事ですが、その際の参考にしてもらえるとうれしいです。頑張ってください。(※コンテンツはすべて無料です)

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