この表から私が感じたことは、ノーベル賞を手にするような立派な人々は、既存の常識に囚われず、自分できちんと考え、失敗を恐れず、愚直に努力を続けることで新しい発見を成し遂げた人たちばかりである、ということである。もちろん、この表ではそうしたことは全く書かれていないが、彼らの「信条」には共通点があり、そうした「信条」は単に生きる指針であるというよりも、彼らの人生そのものだったと私には思えるのである。
常識を疑うのは勇気がいるし面倒臭い。常識を疑うことは無知の証として他者から冷笑される恐れがある。そして誰でも既存の常識の上に乗っかって物事を考えた方が楽なのである。しかし恐れや面倒臭さを乗り越え、対象をもう一度無心に眺める人間にのみ、新しい発見はもたらされる。そうした発見を行える能力を「セレンディピティ」という、と私は聞いている。しかしそれは能力ではなく「努力」や「生き様」であると私は思う。
スティーブ・ジョブズがとある大学の講演で「Stay hungry, stay foolish.」と言ったそうである。受賞者たちの信条と同じである。既存の知識に満足せず、愚直を貫くこと。それはまた私自身の生き方でなければならない。患者と向き合う自分自身が、患者に対してそうあらねばならないからである。目の前の一人一人の患者にきちんと向き合うことで、医療におけるセレンディピティが得られ、それが患者を救う、と私は信じて生きていきたい。(593字)
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