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【小論文解答】:2018年/北里大学/医学部/本試験(2月3日分)

【問1】:自分の「良心=知的正直さ」を大切にする(19字)

【問2】
「己に対して忠実なれ」というシェークスピアの言葉が意味するのは「良心に恥じないようにせよ」ということである。この姿勢は知的生活においても欠かせない態度で、学習において分かったふりやあてずっぽうやごまかし、ズルをせずに自分のやるべきことを正直に行う者こそがきちんとした理解に至り進歩できる。そうした「知的正直さ」の有無を自覚できるのは自分だけだからこそ「己に対して忠実」であることは大切なのである(198字)

【問3】
  学問に対する態度・心構えとして、私が重要と考えているのは「他者に説明して他者が分かるかどうかを、本当に自分で分かっているかどうかの基準にする」ということである。なぜなら学問とは先人が残してくれたものを正しく理解し、それを発展させ同時代の人や後世の人に還元するという「公共性」を持っており、その前提上学んだことも考えたことも他者と「共有」できる状態でなければ学問をしている意味はない、と考えるからである。
  一つ例を挙げる。私は「生物」という科目が好きで生物のことを良く分かっていると勘違いしていた。ある時同級生が「遅滞遺伝を教えて」と言ってきたので私は得意気に放課後の教室で黒板を使って同級生に説明を始めた。しかし私はその仕組みをうまく説明することが全くできず、彼に「ありがとう」と言われて途中で遮られた。私は自分が単にうろ覚えで解いていただけで実は遅滞遺伝のことを全く分かっていなかったことを痛感した。
  その時以来、私は今自分の考えていることを誰かに説明して理解してもらえるかどうかを意識しながら勉強するように心がけている。物事に対する不十分な理解は、本文にもあるように自己の進歩を阻害し停滞をもたらす。「点が取れているから大丈夫」といった過信は、受験生であれば「不合格」という形で自分自身の不利益として跳ね返ってくるだけで済む。しかし医学部に入り、医師として患者と接する中で、こうした過信は自分だけでなく患者や同僚の医師、チームを共にする医療従事者などにも大きな迷惑をかけるだろう。
  学問ときちんと向き合う、ということは、患者ときちんと向き合う、ということとよく似ている。学問に対する誠実さ、すなわち筆者の言う「知的正直」さは、他者に対する誠実さ、すなわち「人間性としての誠実さ」につながっていると思う。そうしたことを肝に銘じて、私はこれからも医師となるための学びを続けていきたい、と考える。(789字)

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プロフィール

玄武庵

Author:玄武庵
日本の片隅で予備校講師をしながら旺文社(入試問題正解)・教学社(赤本)等で作問・解答・解説等の仕事をしています。小論文は自分の頭で考えて書くことが一番大事ですが、その際の参考にしてもらえるとうれしいです。頑張ってください。(※コンテンツはすべて無料です)

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