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【小論文解答】:20年後の自分

※この問題は2017年帝京大学医学部本試験の問題を元とし、設問文および字数に変更を加えたものです。

〔問題〕
20年後の自分について、将来の地域や医療の状況を想定しつつ、「専門分野」と「総合診療」という語句を用いて書きなさい。(800字以内)

〔解答〕
 20年後の自分は、地元である鹿児島の地域の総合病院で勤務医として経験を積みつつ、開業医である父の後を継ぐための準備をしていると思う。20年後と言えば日本における高齢化率がピークに達しているころであり、総人口の中で65歳以上が4割近くを占めている筈である。私の地元は鹿児島の中でも高齢者の割合が高く、現時点で高齢化率は4割を超えている。長期的に考えれば人口減少とともに患者数も減少するだろうが、医療自体は後期高齢者層を中心としたきめ細やかなサポート体制が現在以上に求められると思われる。
 具体的には通常の診療や往診に加え、予防医学のさらなる普及、介護施設との連携、在宅を望む患者に対するチーム医療の充実、認知症対策等が考えられる。また病院数や医師数の減少も視野に入れれば、これまで以上に医師同士が連携して広範囲の患者を協力して支えてゆくことも当然必要となる。その際各医師はそれぞれの地域で「総合診療」に従事しつつ、各々が異なった「専門分野」を学んでいることが望ましい。例えば私の実家は「耳鼻咽喉科」を専門としているが、実際には多種多様な病気に対応する「総合診療科」として機能している。私も将来「耳鼻咽喉科」を「専門分野」とするつもりであるが、その知識と経験は必ず「総合診療」の場で生かされると思う。そして他の分野を専門とする医師との連携を通して、地域の「総合診療」の底上げを行うことができれば、と考えている。
 さらに、20年後は治療技術も目覚ましい進歩を遂げている。癌や糖尿病、認知症を始めとして、これまで治療不可能・困難であったの症状に対して、プライマリーケアのレベルで治療可能になるものもあるだろう。そうした最新の医療成果を絶えず吸収し、患者に還元していくことも医師としての務めである。「一生勉強」をモットーとして、技量的にも人間的も信頼されるような医師として生きていけるよう、これから頑張っていきたい。(795字)
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プロフィール

玄武庵

Author:玄武庵
日本の片隅で予備校講師をしながら旺文社(入試問題正解)・教学社(赤本)等で作問・解答・解説等の仕事をしています。小論文は自分の頭で考えて書くことが一番大事ですが、その際の参考にしてもらえるとうれしいです。頑張ってください。(※コンテンツはすべて無料です)

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