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【小論文解答】:2010年/昭和大学/医学部/本試験

 私はこの質疑応答から確かにそうだと感じると同時に、そうとは限らないという逆の感じも受けた。確かにある学者の言う通り、現在の科学では葉っぱ一枚が行っている光合成の真似も出来ないのであれば、人間は自分たちの持っている科学の力を過信せず、謙虚であるべきだということを、葉っぱが教えてくれているのだと言える。医療についても事情は同じである。患者を診察し、病名を判断し、治療を行う際に、自らの持つ科学的な知識や技術を過信せずに謙虚な気持ちで患者自身に向き合うことは重要であると思うし、そこから得られた情報が科学の分析を超えて患者に対する最良の治療法を導き出すこともあるだろうと考える。医学の道を志す私にとってこの謙虚さは必要なものであると思われる。
 一方で、人間が植物に出来ないことを色々出来る、ということも事実である。言語を喋り、文明を築き、周りの環境を大きく変化させて人工的な生活を送ることなどは、植物はおろかどのような動物にも不可能である。葉っぱ一枚と人間とを比較して「勝ち負け」を語る発想自体は、あまり生産的であるとは言えないと私は思う。医療においても、科学の力を駆使して、自然の状態では決して助からない命を数多く救ってきたし、これからも救い続けることは間違いない。このことは人間として、そして医学の道を志すものとして誇るべきことであるし、そうした自覚を持って医療に携わることは良いと私は考える。
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玄武庵

Author:玄武庵
日本の片隅で予備校講師をしながら旺文社(入試問題正解)・教学社(赤本)等で作問・解答・解説等の仕事をしています。小論文は自分の頭で考えて書くことが一番大事ですが、その際の参考にしてもらえるとうれしいです。頑張ってください。(※コンテンツはすべて無料です)

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