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【小論文解答】:2017年/昭和大学/医学部/2月5日分

 労働や芸術と比較した「遊びの特徴」とは、労働や芸術が「何かを目的とした行為」であるのに対し、遊びは「遊ぶこと自体が目的である」という点にある、と私は考える。
例えば労働には金銭を得る、社会にとって有意義な何かを生み出すといった目的があり、芸術には何より「自己表現」という目的がある。しかし遊びにはいかなる目的も存在しない。むしろ遊びの主眼は「目的からの逸脱」にあると言える。勉強の合間にゲームで遊ぶ。学校の休み時間に友達とちょっとした遊びを行う。遊んでいる間は「勉強」「学校生活」といった「目的のために何かをする」という時間から解放され、人はただただ「楽しさ」に身を委ねる。そして遊びが終わればまた「目的」のある時間へと戻っていく。こうした効果は大人であっても同じである。仕事や家事の合間に、人は何かをして遊んでいる。
人間に遊びが必要なのは、人間が「逃れられない何か」に従属する存在で居続けることが恐らく苦痛だからだ、と私は思う。責任や義務を背負って生きることは大切であり、充実感も与えてくれる。しかし四六時中そのような存在であることを求められるならば、それは大変辛いことだろう。治ることのない病気を抱えて生きる人ならなおさらそうであろう。「遊び」はそういった人生の文脈から一時的に人間を解放し、束の間の「楽しみ」を与えてくれる。その意味で「遊び」は人間の幸福に不可欠なものなのだ、と私は考える。(593字)

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プロフィール

玄武庵

Author:玄武庵
日本の片隅で予備校講師をしながら旺文社(入試問題正解)・教学社(赤本)等で作問・解答・解説等の仕事をしています。小論文は自分の頭で考えて書くことが一番大事ですが、その際の参考にしてもらえるとうれしいです。頑張ってください。(※コンテンツはすべて無料です)

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