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【小論文解答】:2016年/久留米大学/医学部/推薦試験

 男女共同参画とは、男女が社会の中で対等に社会における活躍の機会を保証され、そこから生じる利益を受け取ることができるような制度である。この制度の持つ意味は二つあり、一つはこれまで社会の中で相対的に不利益を被ってきた女性の社会進出をサポートし、社会における男女の平等性を確保すること、そしてもう一つは高齢化の進んだ日本で労働者の絶対数を増やし、国家財政を安定させることである。男女共同参画という概念が日本で普及し、実際に機能するようになれば、女性は精神的にも金銭的にも充実した人生を送ることができるし、そうした人々からの税収によって、より安定した国家運営を行うことができる。したがって男女共同参画には大きなメリットがある、と考えることができる。
 一方、実際には女性の社会進出の阻害要因がまだまだ数多くある。夫婦の家事に対する時間配分は未だに女性の方が圧倒的に多いし、出産や子育てを契機として仕事を辞めざるを得ないのは女性である。こうして女性は自らの仕事で積み重ねてきたキャリアを中断させられ、結果として社会復帰が困難な状態で家庭の中で取り残されるのである。私が目指している医師という職業でもそうした事態は顕著で、女性は仕事と家庭という二つの選択肢の中で家庭を選び、医師としての自己のキャリアを捨てざるを得ない状況にある。これは女性自身の人生にとっても、医療というシステム全体にとっても、大きな損失である。
 男女共同参画を実現するためには、女性の人生と職業に対する社会の側の具体的な支援が重要となる。託児所の設置を職場に義務付けることはもちろん、家事や子育てに対する男性の側の意識の改革も必要である。それは同時に、男性が家事や育児に時間を割けるような労働の在り方を、社会の側が考え実践することも必要である、ということも意味する。男女が「共同」で家庭や社会を作り上げていく知恵が求められている、と私は考える。(793字)
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玄武庵

Author:玄武庵
日本の片隅で予備校講師をしながら旺文社(入試問題正解)・教学社(赤本)等で作問・解答・解説等の仕事をしています。小論文は自分の頭で考えて書くことが一番大事ですが、その際の参考にしてもらえるとうれしいです。頑張ってください。(※コンテンツはすべて無料です)

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