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【小論文解答】:2017年/昭和大学/医学部/2月5日分

 医療において人間とAIが共存するためには、医療の基本が「人間対人間」という関わりにあり、AIはそれを支援するための手段である、ということを医療従事者がきちんと自覚して活用する必要がある、と私は考える。確かにAIはその膨大なデータと正確な処理能力によって人間の知能を凌駕しつつある。またその能力を十分に活用することにより、患者一人一人がきめ細やかで高水準の医療を享受できるし、さらに多くの患者を抱えた医師の負担が大幅に軽減することも間違いない。その点でAIの重要性は疑いようがない。
しかしAIはどれほど能力が高くても、やはり「情報機械」でしかない。機械には固有性も尊厳もなく、思いやりや共感力もない。AIは能力的には医師の代替が可能であっても、「機械」によって診断を下された患者は自身もまたその機械に「処理」されているかのような味気なさを感じるだろう。自分の命に関わることを診断し、治療を行う「責任」を自覚できるのは、医師という「人間」であって、この「責任」は機械では代替できない。
患者のこうした思いを医師が共有し、「人間対人間」という医療のあり方をより充実させるためにAIを用いる、という自覚を持つことによって、医療におけるAIの役割が決定する。そこで「役割分担」という形で人間とAIの共存が可能になる。AIはチーム医療の一員としてその役割を果たすことで、人間との共存を実現するのだ、と私は考える。(596字)
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プロフィール

玄武庵

Author:玄武庵
日本の片隅で予備校講師をしながら旺文社(入試問題正解)・教学社(赤本)等で作問・解答・解説等の仕事をしています。小論文は自分の頭で考えて書くことが一番大事ですが、その際の参考にしてもらえるとうれしいです。頑張ってください。(※コンテンツはすべて無料です)

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