(問1)
現在ほど足ることを知ることが難しくまた必要とされている時代もない。現在の私たちは社会レベルでも地球レベルでも欲望の奴隷と化し自分も地球の未来も危うくしている。しかし価値を外部や他人に求めるほど、それらに人生を左右され自分が自分の主人でなくなってしまう。今のあるがままの自分に価値を認め、大切なものとそうでないものを見極め、その上でよりよく生きようと努力することが幸せな人生につながっていくのである。(199字)
(問2)
本文を読んで、足ることを知りつつ努力するというあり方は将来医師を目指す私にとっても重視すべきであることだ、という思いを抱いた。医療の世界も現在はモノと情報があふれる中で、より効果の高い薬や治療法を開発するという欲望にかき立てられ、世界中が競争に身を投じている。これは患者の側も同じで、少しでも効果の高い治療法や評判の良い病院で治療を受けたいという欲望にかき立てられ、人生を振り回されている節がある。際限のない医療技術の進歩は際限のない欲望を生み出すが、それでも医療は全ての病気を克服できるわけではないし、人の命を永遠に伸ばす方法もない。また人は完全な健康状態を一生保つことはできない。私たちはそのことをまず見極める必要があると私は思う。
医療が現在の自己のありようを正確に見極め、より良い医療を提供するために努力する。それはリスクの高い医療から患者を遠ざけ、安全と健康を守るために必要なことである。それと同様に人々も「完全な健康体」という幻想を捨て、あるがままの自分に価値を認め、心穏やかに暮らすことが大切なのではないかと私は思う。特に高齢化が進み、人口の三割が高齢者となりつつある現在、「無病息災」ではなく「一病息災」「多病息災」という価値観で「足るを知る」ことが幸福な人生のための鍵となる、もちろん、そのために今の医療ができる努力を正しい方向に積み重ねていくことも大事なことである、と私は考える。(595字)
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