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【小論文解答】:2017年/久留米大学/医学部/本試験

 基本的にストレスは人間生活において必要なものでもある。例えば責任感や忍耐力はストレスなくしては育たない。しかし今回の課題で考えられているストレスはもっと深刻なものであると思われる。人間は過度なストレスや継続的なストレスを受けると精神や身体に深刻なダメージが生じ、病気を引き起こしたり命を絶ってしまったりするケースがある。そうしたストレスに対しては、確かに予防や対処法を考えることが重要となってくる。
 ストレスを予防するにはその要因を取り除くことが一番である。例えば「いじめ」がストレスになっているなら転校や引っ越しによって要因を取り除くことができるし、「体調不良」によるストレスは生活習慣の改善によって予防することも可能である。しかし現実的に考えれば、大半のストレスは回避も予防も困難である。特に障碍者や高齢者にとっては自己の周りのあらゆるもの、あるいは自分自身のありようそのものがストレスとなり得る。健常者には何でもないことが、彼らにとっては苦痛の原因となっていることもあるのだ。
 こうした場合の予防や対処を考えるためには、社会の側・健常者の側の配慮が重要となると私は考える。彼らの声に耳を傾け、彼らが社会生活の中で感じるストレスを少しでも無くして、共存できる社会を実現していくためにできることを行っていくのは対処法として最も重要である。さらに高齢者に限って言えば、体が弱り日常生活が困難となることが、様々なストレスをもたらすことがある。そうした人々の生活面・精神面のサポートを行うことも立派な対処法となる。このように、ストレスは予防も対処も「人と人との関わり」の中で行われることが多い。ノーマライゼーションの実現も多病息災も、そして在宅でQOLを保って生活することも、周りの人の思いやりがあってのことなのである。将来医師となる私もその一助となれるよう、日頃から思いやりを持って過ごしていきたいと思う。(795字)

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プロフィール

玄武庵

Author:玄武庵
日本の片隅で予備校講師をしながら旺文社(入試問題正解)・教学社(赤本)等で作問・解答・解説等の仕事をしています。小論文は自分の頭で考えて書くことが一番大事ですが、その際の参考にしてもらえるとうれしいです。頑張ってください。(※コンテンツはすべて無料です)

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