FC2ブログ

【小論文解答】:2016年/日本医科大学/医学部/本試験/2月4日分

 再生医療はこれまで移植に頼るしかなかった様々な病気や怪我に対して、拒絶反応を軽減した形で機能の回復を図る画期的な治療法である。その再生能力の補助として動物の体を使うことは、医療の進歩という観点で考えれば妥当なことである。確かに動物にも幾らかの尊厳や固有性もあり、安易に人間の道具として用いることには問題がある。動物であっても、人間の利益のために不自然な状態を強いられる点に対しては、罪悪感や感謝・敬意などを人間の側が持たなければならない。それは人間の倫理として必要なことである。
 ネズミの背中で人間の耳を再生するという試みは、こうした人間の倫理から逸脱しているように私には思われる。より大きな動物であれば人間の耳の再生についてもそれほど大きな負担にはならなかったはずである。それを敢えてネズミで行ったことには、再生医療のアピールという、本来の目的とは異なる意図が感じられる。大きな耳を背中に負わせてネズミを不必要に苦しめる行為は、動物への配慮を欠いている点で妥当ではないと言える。
 再生医療はまだ過渡期の医療であり、動物の助けを借りなければ実現できないことが多くある。その犠牲となる動物に対しては感謝や敬意を忘れてはならない。それと同時に、3Dプリンターなどを用いて組織や臓器の再生を可能とする技術を早く開発することも重要である。そうした努力が動物の幸福と再生医療の進歩を両立させるのだと私は考える。(597字)
関連記事

コメント

コメント(0)
コメント投稿
非公開コメント

プロフィール

玄武庵

Author:玄武庵
予備校講師をしながら旺文社(入試問題正解)・教学社(赤本)・Z会(実戦模試)等で作問・解答・解説等の仕事をしています。小論文は自分の頭で考えて書くことが一番大事ですが、その際の参考にしてもらえるとうれしいです。頑張ってください。(※コンテンツはすべて無料です)

カテゴリ

FC2カウンター