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【小論文解答】:2014年/九州歯科大学/歯学部/AO入試

 少子高齢化社会を迎えた日本で「良質かつ適切な医療」を安定的に供給していくために、これからの歯科医師は単に治療のための知識や技術を習得するだけではなく、患者や他のスタッフとの信頼関係構築力や連携力、また予防やリハビリテーションまでを視野に入れた幅広い想像力と行動力が必要となる。そしてその根底には、患者の人生と歯の健康の繋がりを自覚し、患者の人生に寄り添い支えるという強い気持ちがなければならないと思う。
 この点を踏まえ、まず少子化社会における歯科医師のあり方を考える。子供の数が少ないということは、その分彼らが大人になった時の社会における重要度が増すということを意味する。健康な心身を持って将来社会で活躍するためには、栄養の入り口である歯の健康を保つことが必要である。従って彼らに対しては啓発活動や定期的な歯科検診を通した「予防活動」が最も必要なこととなる。ものを美味しく食べられることが、体を丈夫にして全身の健康に大きく寄与することを十分理解してもらい、積極的に歯科を活用してもらえるよう、親御さんとの連携をきちんととって子どもの歯を守ることが求められる。
 高齢化社会に対する歯科医師の役割はさらに重要である。高齢者がきちんと咀嚼を行えることは消化を助け全身の健康を守るために必須となる。内臓の負担を減らして栄養を行き渡らせることで高齢者の健康は大いに向上する。また口から栄養を取ることができなくなった高齢者も、口腔の衛生状態を整え咀嚼のための顎や舌のリハビリテーションを行うことで食事が可能となり、寝たきりの状態から脱することもある。そのために他の分野の医師や医療スタッフ、患者の家族や介護関係者と連携を取って、高齢者の人生を支える自覚をもって治療に取り組む必要がある。こうして子どもから高齢者までをきちんとサポートできることが「良質かつ適切な医療」を安定的に供給することなのだと私は結論付ける。(795字)
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玄武庵

Author:玄武庵
日本の片隅で予備校講師をしながら旺文社(入試問題正解)・教学社(赤本)等で作問・解答・解説等の仕事をしています。小論文は自分の頭で考えて書くことが一番大事ですが、その際の参考にしてもらえるとうれしいです。頑張ってください。(※コンテンツはすべて無料です)

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