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【小論文解答】:2011年/久留米大学/医学部/推薦試験

 医師に求められる資質として私が第一に挙げるのは「向上心」である。医療は日々進歩し、なおかつ多様化・細分化している。患者に対してより良い医療を提供するためには、常に最新の医療の動向を理解し、それを自分のものとして咀嚼し、適切に患者へと還元する努力が必要である。「向上心」があれば、その努力を当然のことと考え、患者の幸福やQOLのために貢献することを医師としてのやりがいと感じることができると私は考える。
 次に挙げるのは「温かさ」である。患者はまず何よりも病気や怪我の治療や回復を目的として病院にやって来るが、それと同時に自分の痛みや苦しみに対して「共感」され、それが尊厳を持つ個人の「価値ある思い」として医師に受け入れられることも望んでいる。医師が「温かさ」を持って患者と向き合い、その思いを受け入れることで患者の精神的な苦痛は軽減し、医師を信頼して治療に対して前向きになることができると私は考える。
 最後に挙げるのは「強さ」である。これは精神的・身体的という両面を含む。多くの患者の一人一人に対して真摯に向き合い、適切に治療を行うためには精神的な強靭さが必要であると同時に、それを可能にする強靭な体力も必要となる。それを可能にするのは、医師としてのプライドと継続的な体調管理と体力作りである。こちらの元気を患者に分け与えるほどの気概を持って、日頃から心身ともに鍛錬を行うことが重要であると私は考える。
 そして現在、こうした資質が最も必要とされるのが地域医療の現場であると思われる。医師不足の中で多くの患者と向き合い、地域の中で人生のサポーターとして一人一人と長期的に関わることが求められる医師は、向上心を持ち、温かい気持ちで向き合い、強靭な心身で精力的に仕事をこなすことを通して、地域の人々の信頼を得られるのである。そうしたことを肝に銘じ、今のうちからできる努力を行っていくのが私の務めなのだと思う。(794字)
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プロフィール

玄武庵

Author:玄武庵
日本の片隅で予備校講師をしながら旺文社(入試問題正解)・教学社(赤本)等で作問・解答・解説等の仕事をしています。小論文は自分の頭で考えて書くことが一番大事ですが、その際の参考にしてもらえるとうれしいです。頑張ってください。(※コンテンツはすべて無料です)

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