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【小論文解答】:2016年/福岡大学/医学部/本試験

 「プラシーボ効果」や「ホーソン効果」が疑似科学と呼ばれかねない危険性をはらんでいるのは、本文でも言及されている通り、これらが「再現可能性」と「因果関係」を立証できないにも関わらず、普遍性を持っているように見せかけているからだと私は考える。   
科学が科学であることの根拠は、「再現可能性」すなわちいつでも同じ効果を再現できることと、「因果関係」すなわち二つの事象の必然的で緊密な関係性とが示せることにある。ある風邪薬が風邪を治す場合、どの成分がどのように作用したかについてはいつでも再現が可能である。ところが「ただの小麦粉」が風邪を治す場合、どの成分がどのように作用したかを状況を問わず再現することは不可能である。また特定の薬が効果を示すプロセスについては状況や他の要因と関係なく直接的な因果関係のみで明示できるが、その効果が健康な生活によって早まったり喫煙等で薄まったりすることの原因を特定の薬に直接還元することはできない。こうした非合理性を意図的に隠蔽し、多くの人に誤った健康観を植え付けようとするいかがわしさに対して「疑似」という言葉が与えられたのだと私は思う。
もちろん、「プラシーボ効果」や「ホーソン効果」を有害と見なし、医療の世界から一掃することはできない。本文にもあるように、通常の医療との相乗効果によって体への負担を減らしたり効果を高めたりする可能性もある以上、医療人はこうした効果のメリットとデメリットを熟知して、これらを利用しながらトータルで患者の健康を守ることのできる力量が必要なのではないかと私は考える。(657字)
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玄武庵

Author:玄武庵
予備校講師をしながら旺文社(入試問題正解)・教学社(赤本)・Z会(実戦模試)等で作問・解答・解説等の仕事をしています。小論文は自分の頭で考えて書くことが一番大事ですが、その際の参考にしてもらえるとうれしいです。頑張ってください。(※コンテンツはすべて無料です)

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