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【小論文解答】:2016年/産業医科大学/医学部/本試験/2

〔設問1〕
領域内で固有の専門用語や言い回しを多用し、領域外の科学者を阻害・排斥・除外し、科学の信頼性を保ち科学を進歩させて来た要素である「反証可能性」を自ら封じることで、領域内の業績を過剰に正当化し、本来なら領域外の研究者との交流によって得られるはずの新たな知見や自領域の持つ価値を客観的に評価する視線を失うため、最終的に科学としての業績内容とは無関係な価値指標に自らを委ねることしかできなくなってしまうから。(199字)

〔設問2〕
 地球規模の諸問題の解決に対して、科学は細分化された各個の領域の専門性を生かしつつ、他の科学領域との積極的な交流によって対象を多面的に捉え、筆者の言うところの「自然科学大系」として各個の領域が互いに連携・連帯してそれぞれの役割を果たしていく、という姿勢で対処したら良いと私は考える。なぜなら現在の地球規模の諸問題は様々な要因が複雑に絡み合っており、それらは多くの科学領域の協力によってしか乗り越えられないと思うからである。こうした姿勢を可能にするために、科学の各領域はこれまでの閉鎖的な姿勢を改め、他の領域の科学者たちに敬意を払いつつ親密なコミュニケーションを取っていく必要がある。専門用語に関しても、より分かりやすい共通言語を生み出し、円滑なやり取りを実現すべきである。そして何より、研究者自身が地球に生きる一個の人間として他の人と共に生きていく存在であると自覚することが必要である、と私は結論付ける。(399字)
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玄武庵

Author:玄武庵
日本の片隅で予備校講師をしながら旺文社(入試問題正解)・教学社(赤本)等で作問・解答・解説等の仕事をしています。小論文は自分の頭で考えて書くことが一番大事ですが、その際の参考にしてもらえるとうれしいです。頑張ってください。(※コンテンツはすべて無料です)

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