(問題)
以下の課題文を読んで、自分の考えたことを述べなさい(600字)。
(課題文)
「コ・メディカル」(co-medical)とは和製英語で、医師の指示のもとに業務を行う医療従事者のことを指す。英語圏には「パラ・メディック」(para-medic)という言葉があり、「コ・メディカル」と同じような意味で用いられている。しかし「パラ・メディック」の接頭辞である〈para-〉は「補足する」「従属する」という意味であり、それに対して東京慈恵会医科大学学長(1982年当時)が「協同」を意味する接頭辞〈co-〉を用いた「コ・メディカル」の呼称を使用するよう提唱したと言われている。
(解答)
この課題文を読んで、私は現在の医療が当時の慈恵医科大学長の提唱した「コ・メディカル」に沿って進んでいると考えた。なぜなら現在ではこの概念は「チーム医療」という概念に発展し、医師と医師以外の医療従事者が対等な関係で協力して患者を支え、連携して全人的側面から患者のQOLを向上させるためのシステムとして機能していると感じているからである。その意味で彼には未来のあるべき医療の姿が見えていたのだと言える。
「パラ・メディック」的な発想では患者は単に「病気やけがを抱えた身体」であり、その身体を効率的・正確に治療するという点から、主軸の医師をスタッフが従属的に支えることになる。しかし患者は「病気やけがを抱えた身体」ではなく「尊厳を持った一人の人間」である。そうした患者の全ての側面を考慮して治療を行うためには、他のスタッフの「協力」が不可欠である。医師を含めたチームが互いに欠けたところを補い合う関係は「対等」な関係でなければならない。そうした認め合いが全人的医療を可能にするのである。
これからの日本は高齢者の在宅医療や、QODを前提としたターミナルケアがますます必要となる。対等性に基づく医療従事者の関係は、介護関係者、福祉関係者、行政自治体、地域住民へと広がっていく。それは「コ・メディカル」が「コ・ペイシェント」へと発展することを意味する。その一員として、私も医師としての務めを全力で果たそうと思った。(594字)
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