医科大学病院の理想は、「研究」「臨床」「教育」という三つの機関を有しているという特性を生かして、地域の基幹病院としての責任と義務とを果たすとともに、世界全体に対しても貢献を行える、ということであると私は考える。そしてその理想は、上記三つの機能が相乗的に影響し、同じ目的の下に協力して活動を行うことによって達成されるのである。
まず医科大学病院は、大学の医学部と連携することによって、世界中の先進的な医療情報を手に入れるとともに、問題意識を持って新たな治療法を生み出すための研究を行うことができる。そこで得られた情報や新たな治療法は、地域住民だけでなく、世界中の人々を救うことになる。こうした活動を継続的に行えるのは、研究機関としての機能を十分に有した大規模病院である医科大学病院をおいて他にはない。
次に臨床という側面においても、医科大学病院は他の民間病院に比べて圧倒的に有利である。およそ考えられる限りの診療科が一箇所に集積し、しかもいずれも高度な先進医療を行えるということが、その地域の住民に与える安心感は大きい。その地域の開業医や地方の中規模病院と連携することによって、地域住民の健康は強固に守られるし、それだけの責任を果たせる能力を、医科大学病院は持っている。そして最後に、医科大学病院は教育機関として、多くの優秀な医療人を生み出し、地域に送り出すことができる。高い知識と技術、そして倫理観を持った医師が日本中で活躍することで、日本全体の医療の質を向上させることができるのである。
これら三つの機能をきちんと関係付け、地域や日本、そして世界の医療の質の向上に貢献できる、ということが医科大学病院の理想である。そして多くの医科大学病院が、そうしたことを意識して医療活動を行っている。私も将来、医学部生として、そして一人の医師として、こうした理想の実現やさらなる発展のために頑張ってゆきたいと考えている。 (797字)
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