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 【小論文解答】:2015年/愛知医科大学/医学部/1月30日分

 「人が人と関わることのリスク」とは、人が社会の中で生きる上で避けて通ることのできないものである。なぜなら世の中に自分とまったく同じ気持ちの人は一人もいないし、そうした人とかかわる際には、意見や考え方の相違、気持ちのすれ違いによるトラブルが発生する恐れが必ず生じるからである。こうしたトラブルの典型として、医療における医師と患者の関係が挙げられる。患者の病気に対する治療を、医師は自己の医療知識に基づいて最善の形で提供しようとする。ところが患者自身はその最善と思われる治療を拒否し、一見不合理に見える要求を医師に行う。その意見の相違が相互不信を招き、結果として治療がうまく行われない。こうしたケースは医療の場面では大いに考えられることである。
 しかし、人は社会的存在であり、他者と関わらなければ生きられない存在であることもまた真実である。人はリスクを抱えつつも他者と積極的に関わり、共存共生の道を模索してゆく必要がある。なぜならそれが自己の存在価値を確保する唯一の方法だからである。人は他者に認められ、求められることではじめて自分の生と存在を肯定することができる。そうした個人として他者と関わる際には、他者の立場や心情により心を傾け、共感の気持ちで関わることが重要となる。自分が率先して心を開き相手に一歩近づくことで、相手もまた自分の心を開く。それを信じることのみがリスクを乗り越えるただ一つの道だと思う。(597字)
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玄武庵

Author:玄武庵
2014年6月から医系小論文専門の個人ブログとして年間50記事~60記事を掲載。年間ページビュー数約21万、表示回数約90万、主要検索エンジン検索10年連続1位(医学部/小論文/解答)。小論文は自分の頭で考えて書くことが一番大事ですが、その際の参考にしてもらえるとうれしいです。頑張ってください。(※コンテンツは基本的に無料です。また解答の著作権はすべて「医学部小論文過去問自作解答集」に帰属します。)

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