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【小論文解答】:地域医療の長所と短所

 地域医療の長所は、地域に住む人々と密に関わりあいながら、長期的に健康管理を行える、という点にある。地域医療の対極にある高度先進医療は、主として都市部の基幹病院で行われているが、対象となる患者は重篤かつ緊急性が高い場合が多く、扱う患者数も多いので、一人一人のナラティブな固有性を踏まえた密着型の医療を行うことはできない。その点地域医療は、担っている医療がプライマリーケアであり、患者のほとんどが地域住民なので、患者の精神的・社会的事情を踏まえた上で、往診や場合によってはターミナルケアという形で、患者の健康に対してきめ細やかなサポートを行うことができる。したがって患者のQOLという観点から考えれば、地域医療には大きな長所があると言える。
 一方、この長所はそのまま地域医療の短所でもある。地域で緊急性の高い患者が発生した場合、その症状に即応した高度な医療を地域医療で行うことは困難である。場合によっては都市部では救われた命も、地域の方では失われてしまうということもある。またQOLの点から考えても、副作用を軽減する新薬や患者の負担を軽くする医療技術が、地方では享受できない、という事態も考えられる。これが都市部と地域での医療格差を生み、生命の平等性を損なうことにもなる。こういった点では都市部の高度先進医療に分がある。
 しかし、これからの地域医療は、自己の持つ長所を存分に活かしながら、なおかつ高度先進医療の恩恵を地域でも還元させ、都市部との医療格差を縮めてゆくことが求められているのだと私は考える。その方法としては、都市の基幹病院との連携を今まで以上に緊密にし、情報の共有に基づく迅速な対処を行うことが挙げられる。また先進医療の成果の中で、地域医療に活用できるものは積極的に取り込んでゆくことも必要である。それらを実現するために、地域医療に携わる医師の更なる努力が求められているのだ、と私は考える。(794字)

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玄武庵

Author:玄武庵
予備校講師をしながら旺文社(入試問題正解)・教学社(赤本)・Z会(実戦模試)等で作問・解答・解説等の仕事をしています。小論文は自分の頭で考えて書くことが一番大事ですが、その際の参考にしてもらえるとうれしいです。頑張ってください。(※コンテンツはすべて無料です)

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