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【小論文解答】:2013年/日本大学/医学部/本試験

 筆者が下線部で言いたかったことは、自分の大切な思いを伝えるときは、その思いに対する執着心をもって妥協なく最適な言葉をさがせ、ということなのだと私は考える。本文にもあるように、辞典のない場所や時代に自分の思いを言葉にしようとすれば、最適な言葉を見つけ出すまで、自分自身と向き合わなければならない。なぜなら自分の気持ちを言い当てる言葉を見つける手がかりは、自分だけだからである。そして仮に最適な言葉を見つけることができなかったとしても、そのわかりづらさやもどかしさを言葉を尽して相手に伝えることで、相手は自分の本当の思いを、自分の言葉ではない辞書の言葉を用いて分かりやすく伝えるよりも、より正確に分かってくれる筈である。このように、自分の思いと実直・誠実に向き合うことで出てくる言葉が「自分のことば」という意味である。辞書の言葉は分かりやすいけれども、結果として「本当の自分」を見失ってしまうのである。
 このことは、将来自分が関わるであろう医療活動においても同じなのだと私は思う。例えば目の前の患者がどのような病気なのかを見極めようとするときに、既存の医療書を参考にしながら、当てはまりそうな病名を適当に見繕って済ませることで、患者の本当の病気を見逃すこともあるだろう。患者を救いたいと真摯に考え、目の前の対象をきちんと見据えることで、病気の正体と適切な治療法を見つけ出すことができる、ということもある。
これはまた、医師として患者に説明を行うときにも重要な考え方である。特定の患者の病気の状態を、一般的な病気のパターンに当てはめて説明すると、確かに患者は納得してくれるだろう。しかしそれは患者が自分の状態を正確に理解した、ということとは異なる。患者の持っている固有性に即して、患者の病気について自分の伝えたいことを「自分のことば」で辛抱強く正確に伝えようとすることが、患者を本当の意味で救うのだと考える。(795字)





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玄武庵

Author:玄武庵
予備校講師をしながら旺文社(入試問題正解)・教学社(赤本)・Z会(実戦模試)等で作問・解答・解説等の仕事をしています。小論文は自分の頭で考えて書くことが一番大事ですが、その際の参考にしてもらえるとうれしいです。頑張ってください。(※コンテンツはすべて無料です)

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