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【小論文解答】:2014年/愛知医科大学/医学部/1月30日分

 私は「設備の整った病院で万全のサポートを受け続ける高齢者患者は幸せか?」という論題を立てる。この高齢者には幸せだといえる側面とそうでない側面とがある、と私は考える。幸せだといえる側面は、当然自分の健康面や生活面についてである。何かあったときに治療を行う医師や設備が身近にあることは、高齢者患者にとっては大変心強いだろう。また、食事や洗濯、掃除や買い物といった日常の多岐にわたる事柄を自分で行わずに済むことも、体力的・精神的な負担を大きく軽減する。そういった意味で、こうした病院に入院し、サポートを受けることは、高齢者患者にとって非常にメリットがあると言える。
 しかしこの患者を、これまで自分の人生を歩んできた一人の尊厳ある人間として考えると、人生の最後の場面を、自分の過ごしてきた地域や人間関係から切り離されて生きることは、非常に不幸なことではないかと思われてくる。多少の不便や不安があっても、自分の家で自分の好きなペースで自由に生きられる快適さは、何物にも代えがたいだろう。また身近な地域住民と関わり、自分の人生を豊かにし、自分の生きる意味をそこに見出すという点についても、病院は地域にはるかに及ばない。そして私は、こうした高齢者患者ができるだけ病院ではないところで充実した人生を送ることができるようなシステムを医療や介護の側から提供することで、高齢者患者の幸福を支えることが大切なのだ、と考える。(596字)
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プロフィール

玄武庵

Author:玄武庵
日本の片隅で予備校講師をしながら旺文社(入試問題正解)・教学社(赤本)等で作問・解答・解説等の仕事をしています。小論文は自分の頭で考えて書くことが一番大事ですが、その際の参考にしてもらえるとうれしいです。頑張ってください。(※コンテンツはすべて無料です)

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