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【小論文解答】:2014年/北里大学/医学部/本試験/2月1日分

(問1):両刃の剣としての科学技術との向き合いかた(20字)

(問2)
 「人間に対しはかりしれない利益とともに途方もない損害(の少なくとも可能性)を与える」とは、科学技術の人間に利益を与える要素そのものが、逆に人間に致命的な被害を与える可能性がある、ということである。身近な具体例としては「食品のオートメーション化」が挙げられる。原材料から製品に至るまで、人の手を加えずに大量生産されたインスタント食品や冷凍食品は、私たちの料理の手間を省き、多様な料理を気軽に楽しむ喜びを与えている。しかし悪意のある人間が原材料に毒を加えれば、大量の毒入りの食品が市場に出回り、大量の病人や死者を生み出す。「一度にたくさんの物を生み出す仕組み」そのものが、人に利益を与えると同時に、人間生活に重大な危機をもたらす可能性を持っている。科学技術は何時でも何処でも誰にでも適用できる普遍性を持っているために、一度社会の中で適用されると制御することがとても難しい、ということを意味していると考える。(399字)

(問3)
 科学技術は両刃の剣であって、私たちはその発展を統御する方法を持たない。医療の世界でも科学技術の進歩は様々なことを可能にしているが、同じ進歩が様々な危険性を孕んでいることは事実である。しかし危険だからといって科学技術の進歩を否定することは、進歩によって得られる「幸福」を妨げることにもなる。また医療の対象となる「患者」は多様であり、科学技術が一律に恩恵や損害を与えるわけでもない。こうした複雑な事情の中で、医師は医療の担い手として、少しでも進歩が人々に恩恵を与える方法を考えると共に、患者個人の体質や事情を考慮して、その都度基準を決めて行くことが求められている。一度確立した医療技術に細かく改変を加えより安全性を高めたり、細かい検査方法で適用範囲を決めたり、患者自身の話を聞いて方法を変えてみたり、といった丁寧な努力を通して、少しでも科学技術の恩恵を多くの人に得てもらう努力が医師には必要なのだと思う。(399字)

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プロフィール

玄武庵

Author:玄武庵
日本の片隅で予備校講師をしながら旺文社(入試問題正解)・教学社(赤本)等で作問・解答・解説等の仕事をしています。小論文は自分の頭で考えて書くことが一番大事ですが、その際の参考にしてもらえるとうれしいです。頑張ってください。(※コンテンツはすべて無料です)

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