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【小論文解答】:2014年/日本大学/医学部/本試験

 筆者が述べる「真に創造的な自由」とは、否定的な状況を肯定的な状況へと変化させるような発想の転換に基づく発言や行為の可能性のことである。課題文の日本人の例がそうであるが、家風が厳格でしつけの厳しい家庭なら客人を招いた午餐で子供が水をこぼした時点で、子供はその場で厳しく叱られ午餐は気まずいものになっただろう。この「水をこぼした」という悪い状況を「冷たくて気持ちのよい水をもたらした」という形で解釈し直し、行為と言葉によって他の人々に示すことで、この日本人は午餐という場そのものを救ったのである。この事例が「創造的」なのは、日本人が直接子供をかばったりせず、状況を再定義することで新しく創造し、誰も不快にさせたり傷つけたりすることなく問題を解決したからである。また「真に」と言えるのは、この日本人のように人や場面を救うために創造性を発揮することが、人間のあるべき姿であると筆者が考えているからである。
 こうした自由が人生にとって大切なのは、人生が基本的に「自分の思い通りにならない状況」の積み重ねで成り立っているからである。困難な状況を否定的に考えれば、人生はつまらなく悲しいものになってしまう。こんな目に遭って生きていても良いものだろうか、と人生を否定することしかできなくなってしまう。そうした状況に対して「実は良い面もあるのではないか」と前向きに捉えることで人は自分の人生を肯定できるようになるのだ、と私は考える。これは他者との関わりにおいても同様で、自分が物事を肯定的に捉えることによって、他者の不幸を幸福に変えることができる。それが他者の生きる力を生み出し、その他者の幸福を自己の幸福として享受することもできる。それは中身だけを言えば「困っている人に手を差し伸べる」ということなのだが、そうした配慮を表に出さず、さらっとやってのける工夫ができるところに本当の「あたたかさ」があるのだ、と私は思う。(795字)
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玄武庵

Author:玄武庵
予備校講師をしながら旺文社(入試問題正解)・教学社(赤本)・Z会(実戦模試)等で作問・解答・解説等の仕事をしています。小論文は自分の頭で考えて書くことが一番大事ですが、その際の参考にしてもらえるとうれしいです。頑張ってください。(※コンテンツはすべて無料です)

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