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【小論文解答】:『最近の医療ニュース/安楽死』

 アメリカで脳腫瘍のため余命半年と診断され、安楽死を希望していた29歳の女性が、2014年11月1日に医師から処方された薬を飲んで亡くなった。アメリカのオレゴン州では安楽死が認められているため、彼女は夫とともにオレゴン州に移住し、そこで安楽死を実行したという。女性は激しい頭痛に悩まされていたというが、その頭痛が本当に生を放棄するほどの深刻なものであったのかは、よく分からない。人生を諦める時期が早すぎたのではないか、あるいはこれは安楽死の名を借りた自殺と呼ぶべきものではないか、医師は自殺幇助を行ったのではないかといった声が、世界中から上がっているのが実情である。
 問題は、人間の「尊厳」をどういうレベルで考えるか、ということにあると私は思う。最後まで自分らしく生きることを諦めずに病気との闘いを続けた後、最後の意志として死を選択する、あるいは死ぬ時ぐらいは自然に死にたい、というレベルで「尊厳」を考えるなら、彼女はまだ自分の生に向き合うべきであったと言えるかもしれない。だが、これ以上の苦痛が自分を襲う前に、せめてある程度元気な状態で自分の生を終えたい、というレベルで「尊厳」を考えるなら、彼女の死の選択は妥当であったということになるだろう。
 私は彼女の気持ちには概ね共感できる、という立場である。更なる苦痛の果てに死が待ち受けていると考えれば、そこにあるのは絶望だけである。その状態が自己の尊厳を大きく損なうのであれば、安楽死は認められて良いのではないか、と私には思われる。ただしその死に医師が介在することが妥当かどうかについては、まだ多くの議論の余地があるだろう。「人の死を早める」という意味では、殺人に近いことを行っているのと変わらないからである。医師の使命が「患者の生命と幸福を守る」ということであるなら、彼女のような人の絶望を救うための医療の向上を目指すことの方が先決ではないかと思うのである。(797字)
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玄武庵

Author:玄武庵
予備校講師をしながら旺文社(入試問題正解)・教学社(赤本)・Z会(実戦模試)等で作問・解答・解説等の仕事をしています。小論文は自分の頭で考えて書くことが一番大事ですが、その際の参考にしてもらえるとうれしいです。頑張ってください。(※コンテンツはすべて無料です)

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