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【小論文解答】:2014年/福岡大学/医学部/本試験

 人生に論理性はなく、医療を行う際にはそうした人生の物語を踏まえたナラティブなアプローチが不可欠である、という筆者の意見に私も賛成である。特に緩和ケアの場面においては、患者が自己の物語を全うするためにエビデンスがナラティブに仕えることは当然である、とも思われる。しかし一方でエビデンスがナラティブを拡げる役割を持っている、という認識も重要である。人生の選択においては、選択の前提となる「情報」をどれだけ持っているかも大事だからである。論理性に基づいた様々な医療の可能性を提示することによって、患者は自己の物語をより良いものへと変えてゆくこともできる。つまりエビデンスとナラティブは相乗的に働き合って患者のQOLを向上させる役割を持っている。従って医師は、物語の主人公である患者の「生の演出家」として、合理性と非合理性をともに大切にしながら患者と向き合ってゆくことが求められる。その意味で医師は「人間とは何か」を考え続けるべき存在なのだ、と言えるのである。(426字)

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プロフィール

玄武庵

Author:玄武庵
日本の片隅で予備校講師をしながら旺文社(入試問題正解)・教学社(赤本)等で作問・解答・解説等の仕事をしています。小論文は自分の頭で考えて書くことが一番大事ですが、その際の参考にしてもらえるとうれしいです。頑張ってください。(※コンテンツはすべて無料です)

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