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【小論文解答】:2013年/近畿大学/医学部/本試験

 再生医療とは、人工的に作成したヒトの胚盤胞から取り出した幹細胞を分化させて作成するES細胞や、ヒトの体細胞を初期化して分化させて作成するiPS細胞を用いて、ヒトの体組織や臓器の代用物を作成し、損傷を受けた組織や臓器の機能の再生を図る医療である。
再生医療の意義は、これまで治療困難だったり他者からの臓器移植に頼らざるを得なかった疾病に対して、拒絶反応の少ない幹細胞由来の組織や臓器を用いることで患者にとってより安全かつ確実な治療が見込めるようになったということである。例えば筋肉組織を再生して移植することにより重度の心筋梗塞を回復させる、といった形でこれまでよりも治療の可能性を大幅に向上させ、医療に大きな貢献をもたらすことが期待されている。
 再生医療の問題点は、まずES細胞については同一遺伝子を持った胚を作成し、さらにヒトとして生まれる可能性のある胚を破壊する、という生命倫理上の問題がある。つまりES細胞による再生医療は、他の命を犠牲にして特定の命を救うという意味で命の選別を行っているのではないか、という問題である。iPS細胞については癌化しやすい、という問題がある。前者は胚の破壊を肯定できるような新たな生命倫理のガイドラインの作成が必要である。後者はDNAの損傷を少なくする初期化の方法をきちんと見出すことが重要である。こうした問題をクリアして、研究の方向性をしっかり確定させてゆくことが必要だと思う。(596字)

※400字の論文を600字に改変して解答を作成している。
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玄武庵

Author:玄武庵
日本の片隅で予備校講師をしながら旺文社(入試問題正解)・教学社(赤本)等で作問・解答・解説等の仕事をしています。小論文は自分の頭で考えて書くことが一番大事ですが、その際の参考にしてもらえるとうれしいです。頑張ってください。(※コンテンツはすべて無料です)

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