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【小論文解答】:2009年/昭和大学/医学部/本試験

 自分の会社のいたるところに「100年カレンダー」が貼られていれば、社員の私は当然、「自分の命には限りがある」ということを痛切に感じる。この会社にいる間に自分は何が出来るだろう、そして死ぬまでの間に自分はどんな日々を過ごすのだろう、と色々思いをめぐらせる。自分がいつか死ぬ、ということを常に頭に置くと、日々の過ごし方の密度は濃くなる。それは自分の納得のゆく人生が、一日一日の積み重ねによって成り立っているということを自覚させられるからである。だから100年カレンダーは、私の人生の指標となる。
そして100年カレンダーはまた「自分が死んでも生き続ける人」と自分との繋がりを、よりリアルに感じさせると思う。自分は、前に生きた誰かの努力の恩恵を受けて今生きている。その誰かはもはやこの世にはいない。それと同様に、自分もまた後に生きる誰かに何かを残して死ななければならない、と思うようになる。例えば医療において、治療法は数限りない多くの人々、もはやこの世にはいない多くの人々の努力の恩恵の上に成り立っている。私もその努力を引き継ぎ、より多くの恩恵を後世の人々に残してゆかなければならない。そのために自分の命を賭して、努力を積み重ねて行こう、という気持ちで日々を過ごすようになる。会社員も同様であろう。自分の仕事が他の社員に、人々に役立つことを願い、それが自分の生きがいとなる。そんな生き方を目指すようになるのではないか、と私は考える。(596字)
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プロフィール

玄武庵

Author:玄武庵
日本の片隅で予備校講師をしながら旺文社(入試問題正解)・教学社(赤本)等で作問・解答・解説等の仕事をしています。小論文は自分の頭で考えて書くことが一番大事ですが、その際の参考にしてもらえるとうれしいです。頑張ってください。(※コンテンツはすべて無料です)

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