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近畿大学医学部小論文について

 小論文に関しては、非常にオーソドックスなテーマ型の出題を行う大学である。過去数年分の傾向を見ても「医療人の資質にかかわること」「医療における定番テーマについて」「医療分野の時事問題について」のいずれかであり、時間40分で400字と易しめである。ただ、最近は出題がやや時事問題系に傾いており、13年度で「iPS細胞と再生医療」が、14年度は「混合診療」が聞かれている。実際受験生はこういった時事問題を知らないので、出題されて妄想で書いて即死、という者も少なからずいるであろう。その意味では「ふるい落とし」としては妥当な出題だと思う。逆に生徒は新聞等を通してこうした時事問題については多少の知識(つまり「定義」「メリット」「デメリット」「今後の指針」の4つ)を蓄えておかなければ対応できない。注意が必要である。
 個人的な見解だが、私は定番テーマについても時事問題についても、「●●テーマ集・キーワード集」といったものより「新聞」の方がはるかに覚えやすい、と思っている。新聞は短時間で的確に理解してもらうことを目的として書かれているので、内容が簡潔でわかりやすい。また図表が用いられることが多いので、視覚的にも記憶しやすい。簡潔にまとめるという点では新聞記者は鍛えられており、だらだら教えるのが好きな講師の書いた文章よりは読みやすいことが多いのである。また、最近の生徒は高度なモバイルツール(スマートフォンなど)を持っているので、検索も容易である。新聞で気になる記事を見つけ、それをネットで調べる。その作業を継続的に行ったほうが、本を1冊覚えるより頭に入るだろうと思う。
 ちなみに近畿大学は2011年から面接を行っている。何かを新しく始めるということは、それを行う何らかの必然性が発生した、ということを意味しているので、おそらくは医学部の学生か卒業生で「人間的な問題」を抱えている者がいる、という可能性がある。そうした理由のもとに新設された面接であると考えれば、これは多少なりとも合否に関わるレベルでの厳しい基準でなされている、と考えた方がよい。
 昔愛知医科大学の入試担当者に聞いた話だが、一次試験の成績がAレベルでも面接で落とす生徒が毎年2~3人いる、ということであった。愛知医科大学ほどではないにしろ、近畿大学にもこうした意図はあるだろう。生徒はこうしたことを頭の隅に入れておいて欲しい。「あそこの面接は楽勝」「あそこは面接を重視していない」という言葉ほどあてにならないものはない、と私は考えている。
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玄武庵

Author:玄武庵
日本の片隅で予備校講師をしながら旺文社(入試問題正解)・教学社(赤本)等で作問・解答・解説等の仕事をしています。小論文は自分の頭で考えて書くことが一番大事ですが、その際の参考にしてもらえるとうれしいです。頑張ってください。(※コンテンツはすべて無料です)

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